借金問題のリアルな処方箋!時効まで逃げるか?債務整理するか?どちらが得策かを考える

Prescription of a debt

本当に借金の時効は成立するのか?

借金には「時効」があると聞きましたが、時効が成立すれば返済しなくてもよいのですか?

返済に行き詰まったり、借金を放置してしまったり、そんなとき「借金の時効」について一度は考えた人もいるでしょう。

時効成立で、借りたお金がチャラになる?


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果たして、簡単に時効など成立するものでしょうか。もし本当なら、貸した立場としては不愉快ですね。そう考えると、簡単に時効が成立するとは思えません。

そこで今回は、「時効が成立するまでの流れ」を例にして、時効が成立しない3つのパターンを確認していきたいと思います。まずは、時効の仕組みを理解して、正しい知識を身につけましょう。

借金の消滅時効

借金は、貸主(債権者)によって「消滅時効」が異なります。つまり、誰から借りたか?で時効の成立日が変わってくるのです。

銀行やサラ金、信販といった「金融機関」が債権者の場合、借金の消滅時効は5年です。友達や知人など個人の貸し借りであれば10年となります。

よく誤解されがちなのが、時効のスタート(開始日)についてです。借りた日からカウントする人もいますが、これは誤解です。実際は、最終取引日が時効のスタート時点です。

例えば、2014年1月1日から返済を滞っているのであれば、その日からカウントしなければなりません。

時効は自然に成立しない

時効の期限に達したからといっても「時効の援用」を手続きしないままだと、いつまでたっても時効は成立しない状態です。

時効の援用とは、時効の期限に達したことを借りた相手(債権者)に通知することを言います。手続きの方法は、「内容証明郵便」を借りた相手(債権者)に送るだけです。この際、相手の承諾は必要ありません。

ただし、何かしらの事情で時効が成立していないときには、時効の援用を行っても時効は成立しないので相手から拒否の通知が届くことになります。

では、時効が成立しない何かしらの事情とは、どんな要因が考えられるでしょうか。

時効の中断

貸主にとって時効は厄介な問題です。そのため、できるなら時効が成立する前に取り立てたいのが本心です。そうしたことから、貸主には「時効の中断」を主張する権利があります。

時効を中断させるためには、特定の手続きが必要です。その方法は大きく分けて3つになります。時効不成立のケースについて確認しましょう。

時効不成立のケース1 返済を開始した場合

例えば、あと1年で時効が成立するという日に、1円でも返済すればその日が最終取引日となり、またふりだしに戻ります。

これを法律では「債務の承認」と言い、貸主(債権者)と取引(やり取り)したことで「時効の利益を破棄」したと判断されるのです。

そのほかにも、債権者が提示した書類にサインしたりした場合についても同じです。書類の内容に関わらず、貸主(債権者)と取引(やり取り)したことになるため時効の中断が成立してしまいます。

時効不成立のケース2 裁判所から通知が届く

貸主が訴訟を起こすと、裁判所から債務者に「通知書」が届きます。この時点で時効は中断され、何かしらの対処を要求されます。裁判所の命令で「給料の差押え」があった場合など、良い例です。

また、裁判所の要求に対処しなかった場合、裁判所が「時効中断の権利」を債権者に許可すれば、債務者が要求に応じる・応じないに関わらず時効の期間が10年延長されます。個人であろうと金融機関であろうと条件は同じです。

【時効の中断における訴訟の種類】

  • 支払督促の申立て
  • 少額訴訟
  • 民事調停
  • 和解の提案・承認

時効不成立のケース3 内容証明郵便が届く

貸主(債権者)が債務者に対して「内容証明郵便」を通知した場合は、6ヶ月間だけ時効が中断されます。時効成立の数ヶ月前に内容証明郵便が届けば、その間に貸主が裁判所へ訴訟を申し立てるパターンが多いようです。

なかには、内容証明郵便が届けば時効が中断されたままになると思う方もいるようですが、誤解です。内容証明郵便の通知は、6ヶ月間だけの効力しかありません。

借金の時効は簡単に成立しない

結論をまとめると「そう簡単に借金の時効は成立しない」ことが分かります。そもそも、借金を返済せずに時効でチャラにしようと考えるのは得策とは言えません。

引っ越しして取り立てを逃れる方もいますが、住民票を移してしまえば居場所など簡単に分かってしまいます。回収のプロは、そんなにあまくありません。あの手この手で時効を中断させ、借金を回収しようとします。

やはり債務整理が賢明な判断

時効を中断されてしまった債務者で、最近よく見かけるパターンが「債務整理」です。裁判所から通知が届き慌てた結果、弁護士に相談するケースが増えています。

いずれ、そうなるのであれば早い段階で債務整理に踏み切ったほうが賢明な判断です。

不安な気持ちで日々を送りながら成立する可能性が低い時効を待つよりも、強制的に借金を整理することでより現実的な解決策が見つかるはずです。

自分にとって最善の選択を心がけなければ、不本意に家族や他人を巻き込んでしまう恐れもあるので注意しましょう。どちらにしても借金でトラブルを抱えたら、まずは専門家に相談することが最優先の選択と言えるのではないでしょうか。

まとめ

  1. 貸主(債権者)が金融機関であれば借金の消滅時効は「5年」
  2. 貸主(債権者)が個人であれば借金の消滅時効は「10年」
  3. 「最終取引日」から時効消滅がカウントされる
  4. 時効の成立日に到達しても「時効の援用」を手続きしなければ時効は成立しない
  5. 途中で返済すれば時効がふりだしに戻る(債務の承認)
  6. 貸主(債権者)が提示した書類などにサインすれば時効がふりだしに戻る(債務の承認)
  7. 裁判所が「時効の権利」を確定すれば時効期間が10年延長する
  8. 貸主(債権者)から「内容証明郵便」が届けば6ヶ月間だけ時効が中断される
  9. そう簡単に借金の時効は成立しない
  10. 借金問題に直面したら現実的な解決策を選択する必要がある
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