「働いたら負け」という、生活保護費が最低賃金を上回る現象

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「働いたら負け」は真実?最低賃金より生活保護支給額が多い自治体が実在

これ以上安い賃金で働かせると違法になるというのが「最低賃金」です。

各自治体ごとに定められていますが、この最低賃金が生活保護費の水準より低い地域があり、まさに「働いたら負け」とニートがうそぶく状況が、2014年8月時点で実在しています。


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具体的には北海道、宮城、東京、兵庫、広島の5都道県で、生活保護費を自給換算すると、最大で北海道の11円、次いで広島の4円、そして残る3都県は1円最低賃金が生活保護費を下回っているわけです。

昔は逆転現象を起こしている地域は沢山あった!その対策で国が取った政策は…

ただ2010年頃には、ほかにも埼玉県、京都府、大阪府、兵庫県の4府県の最低賃金が生活保護費の水準を下回っていましたので、状況は順調に回復しているのかといえばそうではありません。

2010年から2014年の間に最低賃金が上昇する以上に、生活保護費が削減された結果、逆転現象を起こしている自治体が減っただけの話です。

アベノミクスとやらで、賃金アップの政策を推進する一方で、「ワーキングプアたちの給料はそう簡単には上がらないから、とりあえず生活保護費を削って帳尻合わせとけ」という、当事者感覚ゼロの政策が行われた結果、逆転現象を起こしている自治体が減っただけだといえます。

ただそれでも冒頭にあげた5都道県は、最低賃金が生活保護費を上回れなかったわけで、自治体は相当深刻でした。

最低賃金は誰が決めている?厚労省の最低賃金審議会という謎の組織

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そもそも最低賃金というのを最終的に決めているのは厚生労働大臣と都道府県の労働局長です。

実質の数字を決めているのは、最低賃金審議会という会議なのですが、審議委員会には「中央最低賃金審議会」と「地方最低賃金審議会」があります。全国の賃金の実態調査をしながら、中央最低賃金審議会が最低賃金案を出し、それを受けて地方最低賃金審議会はその水準案を審議しています。

「中央」と「地方」がそんな議論のキャッチボールをして、まとめた最終案を厚生労働大臣と都道府県の労働局長に提出して、異議がなければ、最低賃金が決定されるわけです。

この最低賃金審議会のメンバーというのは、厚労省のHPによれば「公益代表、労働者代表、使用者代表の各同数の委員で構成」という、よくわからないメンバーで構成されています。

要は現場の有識者とでも言いたいのでしょうが、このメンバーがどのような方法で選出されているのは一切不明で、無作為抽選なのか?厚生省の役人がコネとツテで適当な人を読んでくるのか?その実態は明らかにされていません。

2014年10月以降は「働いたら負け」の逆転自治体はゼロになる?

平成26年度の最低賃金改定は、「働いたら負け」状態の逆転現象を起こしている自治体をゼロにするのを目標に行われた様子です。

その結果各自治体ごとに最低賃金は13円から21円のアップし、全国平均では16円の引き上げになりました。

これでこの最低賃金が法的な効力をもつ10月以降は、日本国内で最低賃金が生活保護費を下回る自治体はゼロになる予定です。

最低賃金を支払わない経営者には、罰金刑が科せられますので、これを守らない経営者はいないとは思います。

しかし働く側がこのことを知らなければ、ブラック企業に低賃金でこき使われる可能性もありますので、自分の給料はキチンとチェックしましょう。

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