最近テレビCMでよく見る「過払い金」って何?3分で分かる過払い金のまとめ

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最近テレビやラジオのCMでよく聞く「過払い金」(かばらいきん)
過去に借金したお金が戻ってくると言ってますが…そんなにおいしい話しがあるのでしょうか?

今さら、人に聞けない過払い金の基本をここでは解説します。


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過払い金って何?

過払金(かばらいきん)とは文字通り払いすぎた金銭をいうが、特に、利息制限法の定める利率を超える高利の借入れをした借主が、本来、借入金の返済は終わったのに返済を続けたため払いすぎた金銭をいう。・・・

過払金 wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8E%E6%89%95%E9%87%91

簡単に言うと、過払い金とは貸金業者が過去に法定外金利で融資していた利息のことです。この過払い金は貸金業者に請求すれば戻ってくる可能性があるのです。

過払い金が生まれた背景

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1999年をピークに多重債務者が増加して、借金を苦に自殺する人が増えて社会問題化しました。この頃は、消費者金融のテレビCMが毎日のようにお茶の間で流れていました。消費者金融各社は競いあうようにCMを出していた時代です。

【消費者金融各社のテレビCMとキャッチコピー】

  • 武富士:「武富士ダンサーズ」「エンショップ武富士」
  • プロミス:「黄色い看板プロミス」「いらっしゃいまし~ん」
  • アコム:「はじめてのアコム」
  • レイク:「ほのぼのレイク」
  • アイフル:「どうする?アイフル」

このCM効果は絶大で、消費者金融に対する好感度は著しく高くなり、利用者に「お金を借りる事はそんなに悪いことではない」というイメージを植え付ける事に成功しました。

また、大手消費者金融はCMと平行して全国津津浦浦までキャッシュディスペンサーを設置しました。これにより、店舗に行って店員と対面すること無く、簡単にカードが作れてお金を借りる事ができるようになったのです。

この手軽さが受けて、本来ならば消費者金融に借りるほど生活苦では無い人たちも安易にキャッシングに手を出してしまうケースが増えたのです。この中には、働き盛りのサラリーマンから主婦など、これまでは消費者金融とは縁がなかった人たちも大勢含まれました。

その結果、右肩上がりで「多重債務者」が増加したのです。

「改正貸金業法」による政府の介入

多重債務者の増加を重く見た当時の自民党政権は2006年には「貸金業改正法」を施行します。これは、具体的には貸金業者の上限金利を29.2%から20%に引き下げるという事と、総量規制と言われる年収の1/3以上の借入れを禁ずる法律です。

また、これと共に過去に利用者がグレーゾーン金利で借入れをして返済した金利分は本人から返還の申入れがあれば、返済するように義務付けたのです。これが、いわゆる「過払い金」です。

政府は消費者保護の観点で思い切った規制をおこなった訳ですね。これはある意味、悪質な取立て・催促により儲け過ぎた貸金業者に対してペナルティを課したという事が言えます。

【参考】改正貸金業法を検証する(金融庁)
http://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/followup/siryou/20110627/02.pdf

過払い金の該当者は?

過去に、消費者金融、信販会社、カード会社などからグレーゾーン金利で借入れ・返済をした事がある人なら誰もが対象になります。

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〈グレーゾーン金利〉

  • 元本が10万円未満:年利20%~29.2%の間
  • 元本が10万円以上100万円未満:年利18%~29.2%の間
  • 元本が100万円以上:年利15%~29.2%の間

2006年以前は、多くの貸金業者が法定利息を超えたグレーゾーン金利で融資をおこなっていましたので、この期間に長期間に渡り貸金業者と取引があった人は多額の過払い金が戻る可能性があるのです。

過払い金のメリット・デメリット

〈メリット〉

  • 過去に払った利息分が戻る
  • すでに借金を完済した業者への請求ならブラックリストに載らない
  • 家族や勤務先などにバレる心配もない
  • 取引明細などが手元になくても請求可能

〈デメリット〉

  • 利息の引き直し計算が必要
  • 貸金業者との交渉が必要
  • 現在も取引が続いている貸金業者に請求したらブラックリストに載る可能性がある
  • 最後の取引から10年で時効になる

過払い金請求の流れ

過払い金は自分から相手の貸金業者に請求しないと返還されません。(黙っていても戻るものではないのです)

まずは、過去に取引があった貸金業者に取引履歴の開示請求をおこないます。これにより、過去の貸し借りの金額とその際の金利が分かります。そして、この取引履歴をもとに利息の引き直し計算をおこないます。これは、法定利息と違法利息の差額分を算出する計算です。

この一連の作業により貸金業者から戻る過払い金の金額が明確になります。もし、複数の借入れ先があった場合には、すべての業者に対して取引履歴の開示請求をおこない、同様に引き直し計算をおこないます。

過払い金が算出できたら、貸金業者に対して返還請求をおこないます。

大手の貸金業者であれば、比較的早く応対してくれますが、中小の業者は交渉・返済に応じないケースがあるのがやっかいな問題です。

これらの一連の計算から交渉までは、自分で出来ないこともありません。しかし、骨が折れる作業であることは覚悟しなくてはなりません。

時間に余裕がある人ならご本人でおこなっても良いと思います。しかし、多くの人は通常は過払い金返還を専門でおこなう弁護士、司法書士に依頼するケースが多くなっています。

過払い金はいつまで請求できるのか?

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過払い金は最後に取引があった日から10年経過したら時効になります。

2006年に貸金業改正法が施行されましたので、これ以降は貸金業者は法定内の利息でしか貸し出しをおこなっていません。つまり、2006年から現在に至るまでの取引には過払い金は発生していないはずです。

再来年には、時効期間の10年が経過しますので、ほぼほぼ過払い金問題は終息に向かう事になります。

それもあってか、最後の駆け込み需要を狙うために一部の弁護士、司法書士事務所がテレビCMなどを強化しているわけです。

〈時効に関するメモ〉
「過払い金の分断」というものがあります。これは、一度取引があった貸金業者へ借金完済した後に、しばらくして同じ融資条件で取引が再開した場合に、過払い金の時効期間がどこになるかという問題です。当然、貸金業者は多額の過払い金は払いたくありませんので分断を主張します。これは、過払い金の請求において頻繁に争点となる問題です。

過払い金請求のまとめ

過払い金の功罪は賛否両論あります。

日本は決して貸金金利は世界的に見て高い訳では無いのに、貸金業イコール悪だと決め付けた業者イジメだと言う意見もあります。また、改正貸金業法により、貸金業者が貸し渋ったために、利用者が悪質なヤミ金業者に流れたという声もあります。

一方では、多重債務者がピーク時の1999年から比べると半分以下に減った(金融庁データ)ので、効果があったという意見もあります。

政府が決定した法改正は絶対ですが、この施行により私たちの生活に大いに影響があるという怖さがあります・・・

いずれにしても、過払い金の時効はもうそこまで迫っています。
もし、2006年以前に貸金業者を利用していた人はお金を取戻す最後のチャンスです!

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