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過払い金の発生と時効

2005年7月の最高裁の判決により、貸金業者に対して過去の取引履歴の開示義務が言い渡されました。さらに2006年の判例では、貸金業者が主張する「みなし弁済」は事実上不可能となりました。これにより過払い金請求の事例は一気に増えていくことになります。
過払い金の発生は、法定外の利息で借入れを始めたタイミングであり、利用者によって違います。ですので、貸金業者がグルーゾーン金利での融資を止める2010年ぐらいまでの期間が一般的に言う過払い金の発生期間にあたります。
また、この過払い金には時効がある事も忘れてはいけません。時効後の請求は権利消失となりますので注意が必要です。

過払い金の発生と算出

過払い金は払い過ぎた利息の事ですが、どのタイミングで払いすぎていることがわかるのでしょうか。過払い金が発生するシステムを理解すれば、早い段階で過払い金の返還請求や借金の減額を試みることが可能となります。
過払い金をチェックするにあたり必須項目が「利息の設定」と「返済回数」です。その二つを把握していれば大よその過払い金を算出することができます。
例題を参考にしながら過払い金が発生する時期を確認してみましょう。

過払い金を計算しましょう

30万円を年利29%で借りた場合、毎月の返済額はおよそ9,500円前後、一般的な契約内容をモデルにすると60回で完済です。そして次に、利息制限法で設定した返済モデルを比較対象にします。30万円の借入であれば利息制限法が定める年利の上限は18%です。
まずは、年利18%で完済した時をシュミレーションすると、60回目の完済時点で利息と元金あわせて合計45万円前後になります。続いて、年利29%の設定でシュミレーションしてみると、完済時の合計は57万円前後です。

年利18%・・・ 7,500円×60回=45万円(正常な契約)
年利29%・・・ 9,500円×60回=57万円(法律を無視した契約)

「45万円-57万円=12万円」

この差額が過払い金の目安。これはあくまでも目安をシュミレーションするための単純計算です。実際にはもっと複雑な計算で正確に過払い金を算出します。(※利息の引き直し計算)
本来であれば45万円支払った時点で借金は完済しているわけなので、あとは取引履歴を確認しながら過払い金が発生する時期をチェックするだけです。

年利18%・・・ 7,500円×60回=450,000円
年利29%・・・ 9,500円×48回=456,000円

年利29%で返済した場合については、48回目の返済で45万円に到達します。この時点が過払い金の発生タイミングです。これ以降の返済分は全て過払い金の対象になります。

過払い金の請求権には「時効」がある

過払い金が発生しているからといって、いつまでも請求できる権利が持続するわけではありません。過払い金の請求権には『時効』があります。
貸金業者(消費者金融)と最後に取引した日から数えて10年目が請求権のタイムリミットです。つまり、最後に返済した日から10年目には請求権が消滅します。11年目に過払い金を請求しても回収できる可能性は限りなく低くなります。
2005年の10月10日が最終返済日であれば2015年10月10日までが過払い金の請求期間です。1社の借入であれば管理も簡単ですが、3社、4社の借入がある場合には時効を見逃してしまう恐れがあるので注意しましょう。
早い段階で全ての過払い金の請求手続きを開始することを強くおすすめいたします。

取引の分断に注意しましょう。

利用者の中には、同じ消費者金融から借入れと完済を繰り返している人がいます。これを、取引分断と言いますが、何回か繰り返した借入れと完済が、同一契約とするか、別個の契約とするかで、時効の発生期間が変わります。分断の扱いとなると過払い金の返還額が大きく減る場合があります。当然、消費者金融は取引分断による時効の発生を主張してきます。過払い問題ではこの取引の分断が頻繁に争点になる事があります。

過払い金の時効のポイント

貸金業者としては、過払い金の時効は待ちに待った瞬間です。時効となれば、もはや過払い金を返還する必要は無くなります。貸金業者にとって、時効は返還額を少なくするための回避策です。そのため、手続きにおいて時間稼ぎをしたり、取引の分断を主張したりと、時効に持って行こうとします。
これに対抗するためには、強い交渉力と法的根拠の主張が必要です。やはり、専門家に相談の上進めていく事が確実に過払い金を回収する方法です。

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